「2009年10月」の記事

ウタツサウルス完成

2009年10月31日 / 造形・イラスト作品

ウタツサウルス完成
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作品サイズ 全長35cm スケールは約1/10
体表はウロコ状なのを強調して、原始的な
雰囲気を出したかったのですが、魚竜としては原始的といっても、
水中生活への適応という点ではすでに完成している
デザインにも思えるので、ここまでのウロコの表現は
余計だったかもしれません。
あと、首もちょっと長過ぎかな。

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今回のオマケはサウリクチス(Saurichthys)
魚はやっぱり難しいです。
ちゃんと系統とか反映した表現が出来れば良いのですが、
なかなか大変で、、、。
製作にあたり使用した主な参考文献
・ウタツサウルス
「翼竜の謎」 金子隆一 他
「恐竜解剖」 クリストファー・マクガワン
「ジュラ紀の海の支配者-魚竜」藻谷亮介
(「地球を支配した恐竜と巨大生物たち」別冊日経サイエンス)
「Ichthyopterygia :Handbook of Paleoherpetology Part8」
 Christopher Mcgowan & Ryosuke Motani
「SEA DRAGONS」Richard Ellis
・サウリクチス
「古脊椎動物図鑑」鹿間時夫
「THE RISE OF FISHES」 JOHN A.LOMG
「DISCOVERING FOSSIL FISHES」 JOHN G.MAISEY
もちろん、ネット上での情報も随分参考にしています。
その他、魚竜・ウタツサウルスを研究題材にされている
東大・中島さん北大・相原さん
いろいろとお話を伺えた事も参考になりました。
上手くそれを作品に反映出来たかどうかは不安ですが、、、。

骨ゼミ&変ワニ

2009年10月29日 / 恐竜・古生物

●27日は、近畿古脊椎動物学ゼミ、
通称「骨ゼミ」参加のため京都大学へ。
この日は京大・動物系統学研究室の疋田努先生による
日本のトカゲの分布に関する講演。
骨ゼミでは古脊椎動物だけでななく、こうして
現生動物の話も聞ける事も。
鱗の形、並びやDNA解析も活用する現生動物の
研究の話は、化石という骨だけから同定する場合が
ほとんどの古脊椎動物学に日頃接している私には、
またいつもとは違う研究の面白さ、大変さを
知る良い機会でした。
で、その後は毎回恒例の懇親会=飲み会。
骨ゼミ主催の松岡先生に学生さん、OBの皆さん、
もちろん疋田先生、それに小田隆さん
先日ナショナルジオグラフィック日本語版でも紹介された
化石ハンター・大倉さん等も加わり、なかなか濃い面子。
Strange Crocs of the Saharaサハラで発見された白亜紀中期のワニ復元プロジェクト。
CGはタイラー・ケイラーさんに、先日のSVPでも
発表されたエリン・フィッツジェラルドさんの二方が手掛けた
復元模型も素材としてデータを制作しているそうです。
先日発表されたアルマジロスクスと言い、
ストレンジ・クロック=変ワニ(と、勝手に言ってます)が
何気に熱いっすね。
ちなみに、今月号のビバリウムガイド
幻想ビバガも海洋堂・古田悟郎さん制作の
アルマジロスクスです。
変ワニ戦線、参入したいな~、時間無いな~。

第二回「きしわだ恐竜教室」

2009年10月26日 / イベント・教室・講演

きしわだ自然資料館で開催の
第二回「きしわだ 恐竜教室」の様子を。
まずは「恐竜教室 子供の部」
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古生物学を専攻中の黒須さん
によるお話。
次は毎度お馴染み恐竜復元画ワークショップ。

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最後は、ティラノサウルスフィギュア塗装ワークショップの
3部構成。

前回参加できなかった方を対象に募集、
教室の内容も前回とほぼ同じにしたのですが、
今回も定員をはるかにオーバーする申し込みが
あったとの事。抽選で参加者を決めましたが、
まだまだ参加希望の方が残っておられるという事なので、
同じ内容の教室を何回か続ける必要が
あるかな、と思案中。
将来的には、もちろん内容の更新を予定していますが。
「子供の部」の後は、きしわだ自然友の会・古生物ゼミ、
通称「おとなの部」。

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先日のブリストル開催SVP(古脊椎動物学会)
オプショナルツアー・ワイト島巡検に参加された
黒須さんに、その様子をレポートして頂きました。
参加者それぞれが興味のある所で驚いたり質問したりで、
そのやりとりがまた面白いですし、勉強になります。

デザイン募集

2009年10月16日 / 恐竜・古生物

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画像をクリックすると大きくなります。
さらに詳細はこちらなお、この企画の関係者より
当ブログでこの企画を知った方には特別に
「5人以上にお知らせしなければ
フィールド調査でコプロライト以外見つからなくなる呪い」

をかけておいた

との連絡を受けておりますので、
是非周りの方へも宣伝お願い致します。
逆にコプロライトマニアはダンマリ決め込むのも手。
と言って、コプロライト見つからなくても責任負いませんが。
ピカリアとかスピリファーって、何ポケモン?

「骨の記憶」展

2009年10月15日 / 恐竜・古生物

企画展「骨の記憶」を見学に琵琶湖博物館へ

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琵琶湖は快晴。
企画展会場。

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さまざまな動物の骨を比較する事で、
骨格に残る進化の痕跡を学ぼうという主旨(で良いかな)。
と書くと、少し難しそうですが、各トピックが
非常にシンプルに纏められていて、脊椎動物の
骨格の基本と、またその進化における変化が
判り易く説明されています。
で、この展示には、、、、
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パネルの画像と展示に私のケファラスピスが
使われています。

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ミシシッピーワニ(アリゲーター)。
ワニの全身骨格は意外に珍しいのと、
これだけ至近距離で見られる機会も
そう多くは無いかも。

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ラッコ ラッコ ララ ラッコッ♪最初見た時には、これがラッコとは
全く分かりませんでした。
画像にはありませんが、琵琶湖博物館内で
活動している「ほねほねくらぶ」関連展示が
なかなか面白いのです。
琵琶湖博物館と言えば、常設展示の規模と質の高さで有名。
水族展示のヘラチョウザメの採食に燃えるもよし、
コイのお腹に萌えるもよし

この企画展期間中に是非。

バス料理もお忘れなく。

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「見に来て下せぇ~」
と懇願するガイコツさん(嘘)。
企画展見学後は高橋啓一先生
滋賀県足跡化石研究会・岡本さんに
長鼻類についていろいろ質問。
仕事では無い個人作品とは言え、
長鼻類造形に挑戦するなら、何か自分なりの課題か
方向性が欲しいな、と思っていたのですが、
御二方にお話を伺っているうちに、そのヒントが幾つか。
今年中にいろいろ資料を当たって、来年何か形に
出来れば良いな、と。
っていうか、絶滅ゾウの仕事来ないかなー(虫が良すぎるか)。

ウタツサウルス

2009年10月13日 / 造形・イラスト作品

長らく放置していたウタツサウルスの塗装開始
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ウタツサウルス(ウタツ魚竜)は、現在見つかっている魚竜の
中でも非常に原始的な特徴を持っている種で、
魚竜の進化に関する記事や論文では必ずと言っても
良いほど言及される、日本を代表する古脊椎動物の一つ。
このウタツサウルスのように、日本でも世界的に重要な
古生物の標本が結構いろいろ発見・研究されています。
そろそろ、長鼻類の勉強もちゃんとしないと
ダメかな~と。

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何か、他にお薦めの本・資料等あれば
お知らせ下さい。
相変わらずの記憶容量チョビットbitなので、
読んだ端から忘れますが。
まずは「そういや、あの本にそういう事書いてたな~」
くらいの事が頭に残るのが目標。

SVP2009inブリストル まとめ

2009年10月8日 / SVP・古脊椎動物学会, SVP2009・ブリストル

例年、SVPでは4日間の日程の中で3日間は
パーティーやオークションで夕食が出るのですが、
今回はその食事が無いということで、
食事は各自調達。その分、例年よりもいろんな
お店で食事する事になりましたが、その割には
ハズレ率は低め。でも、これはブリストルには
美味しいお店が多いというより、
学会参加者同士で美味しいお店の情報を
ちゃんと共有していたから、という事が大きいですね。
実際、一人でふらっと入ったお店の料理は
かなり残念な味だったし。
もちろんバッチリハズレも引きましたが、
他の学会参加者と大勢で食事する事が多かったので、
ハズレ料理を引いても皆でつつき合って
話のネタに出来るので、その分気分は楽だったかな。
でも、あれが1人とか2人くらいで食べろと言われたら、
そりゃかなり凹むでしょうね。量も多いし。
まぁ、明らかに食材がオカシイとか、お腹壊す、なんて事は
無かったので、ある意味純粋に安心して不味さを楽しめる、
これはこれで旅の楽しみだったんでしょうね。
というか、ハズレが一つもなかったら、それはそれで
イギリスに行った実感が湧かなかったかも、だし。
そうそう、ホテルに付いていた朝食、これが美味しかったんですよね~。
特に焼きたてワッフルにラズベリーソース。
凄くシンプルなんだろうけど、「幸せ」を味にしたら、
きっとアレだと思う。
ああ、マッチの炎の中に、あの時のワッフルが見える、、、。
ブリストル大学出てすぐのハンバーガー屋も
かなり美味しかったですし、他にも美味しいお店はあったんですが、
そういう所が他に比べて特に込み合っている様子でも無いのが謎。
・・・・・・・・・・・・・
SVP参加は今年で4回目。これまでの北米での開催とは違う
イギリスが会場、私にとっても初ヨーロッパという事で
勝手が違うところもあり戸惑う部分もありましたが、
参加回数を重ねた事で知り合いも増えていて、
やっぱり楽しいSVPでした。
毎回の事ですが、今年も日本人研究者・学生さんには
本当にお世話になりました。
ブログには書ききれていませんが、通訳して貰ったり、
発表の内容を解説してもらったり、いろんな方を紹介して下さったり、
とにかく日本人研究者・学生さんのお陰で
SVPが何倍も楽しくなっていると思います。
さて来年は会場はアメリカに戻って、ピッツバーグでの開催。
ピッツバーグと言えば、あのカーネギー自然史博物館!
中生代展示は近年リニューアルされて、ネットで画像を
見るだけでもワクワクします。もちろん来年も参加の予定。
また1年、SVPで何か面白い作品を皆さんに
見せられるように頑張らなければ!

ブリストル市立博物館 その2

2009年10月5日 / 博物館・特別展見学, SVP2009・ブリストル

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プラテオサウルス。
三畳紀の大型陸上動物ということで
有名な恐竜ですが、日本ではなかなか全身骨格に
御目にかかれません。
スケリドサウルスファミリーコーナー
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スケリドサウルスは、初期の装盾亜目に属する恐竜、
つまりステゴサウルスやアンキロサウルスのご先祖様の
系統になります。
イギリスでしか見つかっていません。
成体が1体、若い個体(亜成体?)が2体展示されています。

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成体の標本。
上から上半身~胴体~後肢からしっぽ。
ほぼ全身の骨格が完全な上に、体全体を
びっしり覆う装甲も保存されており、
さらには一部皮膚の痕もあるという
至れり尽くせりの(?)標本。

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頭部。植物食ですが悪そうな顔です。
骨格が悪そうでも肉付けたらそうでも無いかも、
とも思いますが。

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亜成体 その1
頭は見つからなかったそうですが、
それ以外はかなりの保存状態。

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亜成体 その2
こちらは頭も一部見つかっているようです。

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復元模型。
足もとに
「私は壊れやすいから、さわらないでね」と。
このスケリドサウルスコーナーや、先ほどのプラテオサウルスは、
比較的最近新設されたと思われます。

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地質コーナーは、小規模ながら各年代一通り
展示があります。画像はその一部。
復元模型はレトロ風味。
でも、明らかに骨格と違う適当な形になっていたり、
関節が外れているようなものが無いのは流石。
それに、画像のような模型と標本を組み合わせた
パノラマな展示は、模型を造る者としては
かなり羨ましい。こういう仕事、やってみたいですね。

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ブロントサウルス! トラコドンもいました。
(現在、ブロントサウルスはアパトサウルスに、
 トラコドンはエドモントサウルスになっています)
模型や、標本のキャプションに古さは感じられますが、
その当時としては非常にしっかり作られたものと思いますし、
全体の統一感、雰囲気が魅力的なので、
見る側が「分かって」いるのであれば、これはこれで良しかな、と。
ヨーロッパの歴史を感じさせる建物の、人もまばらな
展示室で聞こえるのは自分の足音だけ、というシチュエーションは、
それだけでなんとなくその場所に長く留まってしまいます。

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3階にプラテオサウルスが見えます。
その下が、前回紹介した海棲爬虫類コーナー。
魚竜を見て、
「ダイナソー!」と叫ぶ子供に
「そうね~、恐竜よ~、大きいわね~」とお母さん、
というのは世界共通ですな。
そのすぐ隣では、そんな間違いを絶対にしない
専門家が世界中からワンサカ集まってる訳ですが。
次回は、今年のSVPレポートのまとめです。
>「世界の恐竜博物館見聞記」ホームへ

ブリストル市立博物館 その1

2009年10月2日 / 博物館・特別展見学, SVP2009・ブリストル

今回のSVPでイアンタサウルスのポスター発表を発見。
「わ~、やっぱSVPってスゲ~や~」なんて楽しんでたら、
発表者は、去年のSVPのア-ティスト発表の時に、
私のコティロリンクスをベタ褒めしてくれた方でした。
ブリストルから帰国後メールをすると、
資料の協力を申し出て下さった上に、
「追伸 君のコティロリンクスは私にとって
 ワン・オブ・ザ・ベスト古生物造形です!」と。
コティロリンクスの魅力って、、、、。
ともあれ、良いペリコサウリア仲間&情報源が出来て
嬉しいです。
、、、プセフォデルマも気に入ってくれたそうですが。
・・・・・・・・・・・・・・
さて、ブリストル市立博物館です。
正しくは
Bristol’s City Museum and Art Gallery
自然史だけでなはく、歴史や美術などの展示もある
博物館です。
今回は、古生物関係を紹介。
海の竜~魚竜とそのお友達~
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魚竜 テムノドントサウルス幼体
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魚竜の化石といえば、この後にも幾つか紹介するような、
平面になってしまったものほとんどなのですが、
これは立体的に保存されていた珍しい標本。
頭が大きめなのは、幼体だからでしょうか。

グレンデリウス
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聴きなれない名前なので、調べてみたら
今はブラキプテリギウスという事らしいです
、、、、、ブラキプテリギウスも初耳なんですが、、、。
良い名前なのになぁ、紅蓮デリウス。
後ろにある復元画は著名な古生物画家・
ジョン・シビック氏によるもの。

エクスカリボサウルス
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頭部から前ヒレの部分。
名前の語源はカプリコーン・シュラの必殺技から、、、
じゃなくてアーサー王伝説のエクスカリバーから。

レプトプテリギウス
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レプトプテリギウスって、今は属名としては無効、
レプトプテリギウス属に含まれていた種は、
レプトネクテスかテムノドントサウルス、
スエヴォレヴィアタンになってるらしいです。
今回、知らない名前続出。
レプトネクテスは立体骨格が上野・科博にありますね。
こちらの復元図もジョン・シビック氏の作品。
デカくて迫力あります。


イクチオサウルス。代表的な魚竜です。
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後ヒレのあたりに矢印がありますね。

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これ。さらに拡大
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胎児の化石です。
魚竜には、出産中のまま化石になった標本もあり、
また骨格の作りから上陸は無理だろう、という見方から
卵胎生だったと言われています。
頭が大きくて首が短い首長竜・プリオサウルス頭部
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保存状態が非常に良い標本です。

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復元模型。良く出来てます。
眼や歯の細部の表現にはちょっと疑問もありますが、
プロポーションはまさにプリオサウルス。
こういう作風、好きです。
サイズも、いつもの私の作品とほぼ同じですし。
恐竜、その他は次回。
>「世界の恐竜博物館見聞記」ホームへ

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