マチカネワニ(+追記)

2010年6月18日 / 恐竜・古生物

「巨大絶滅動物 マチカネワニ化石
 ―恐竜時代を生き延びた日本のワニたち」

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タイトル通り、一冊丸ごとマチカネワニ。
といっても、現生ワニの画像・記述も多く、
またカラーページも多いので、ワニ本としても
なかなかの内容。

大阪大学総合学術博物館には、マチカネワニの
貴重な実物化石が展示されていますが、
場内は撮影禁止のため、この本に掲載されている
展示画像は資料的価値大。
恐竜以外の、さらに1種の古生物を題材にこれだけの
出版物が出たことが嬉しいですし、それだけ
マチカネワニが素晴らしい標本という事でもあります。
そして、今回、そのマチカネワニの復元の一例として、
私の作品も掲載されています。

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作品制作に関する文章も書かせて頂きました。
その後、このマチカネワニ模型には、
改めて資料を見直して少し気になる部分を
発見したりして、現在多少修正を加えているのですが、
細かい部分なので、掲載されている状態と
大きくは変っていません。
私の作品は別にしても、日本産の古脊椎動物に関する本で、
これだけビジュアル面と情報面が両立した物は
そう多くはありません。研究についても
様々な面からの考察が平易な文章で紹介されており、
「古生物研究って、どんな事をするの?」
という事を知りたい方にも是非読んで欲しい本です。
追記:
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帯をめくると、ここにも、、、、
本製作スタッフの方にも気に入って頂けたようで、
嬉しいです。

「学研の図鑑 恐竜」 増補改訂版

2010年6月16日 / 恐竜・古生物

「学研の図鑑 恐竜」増補改訂版が発売になりました。

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表紙のティラノは小田隆さん画
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裏表紙のティラノ頭部復元模型は私が担当。

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見返しにも私の作品が使用されています。

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今回の目玉の一つ、ティラノ頭骨原寸大ポスター。
流石に全体は入らず、上顎の前半部のみ。
それでも大きさは十分実感出来ます。

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こちらポスターの裏。ここに掲載されている
ティラノ頭部模型は、実際の模型の大きさとほぼ一緒。
流石にこんなサイズの模型造るのは初めて。
ディテール入れ作業を始めて、1/3進んだ時点で、
その大きさにやっと慣れてきたせいか、
あきらかに最初の部分よりも上手くなっているのに気づき、
そうすると最初の部分の下手さが気になりだして、
思い切ってディテールを最初からすべてやり直したり。
時間無かったけど、流石に見過ごせなかったのです。
そして頭にリフレインする「昨日よりも、今日強い!」不慣れが故とは言え、日に日に上手くなる感覚なんて、
そう経験出来るものじゃないです。
研究者さんの監修も、少々の修正でパスし、無事完成。
実は時間の都合上、芯としての簡易な頭骨を
友人でスタイロフォーム慣れしている
鰐亀さんに頼んだのですが、ティラノ頭骨造形は
初めてにも関わらず、ほぼ問題無い形状に
仕上げてくれました。感謝。
っていうか、鰐亀さんいなかったら、
納期に絶対間に合わなかった、、、。
今回の増補で、相当に新しい情報が追加されています。
元々が、情報の精度と使用されている復元画の
レベルの高さでオススメしていた図鑑だったのですが、
今回、自分もこの本に参加出来て非常に光栄な事です。
是非、宜しくお願い致します。

日本古生物学会2010年年会

2010年6月15日 / 日本古生物学会

前回の記事で紹介し忘れてました。

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RC GEAR製・古生物学会75周年記念グッズ。

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こちらは、75周年記念バッグ。
学会参加者への記念品。

小田隆さんの大学の学生さんによるイラスト。
といっても、そこは学会公式バッグ、
しっかり研究者チェック入ってます。
ハンマーの形とか、地層の感じとか。
●12、13日
この2日間は筑波大学にて古生物学会年会。
つくば駅のバス停で、作家・富永浩史さんと合流。
富永さんとは、夏に古生物関係でちょっとした悪巧み(?)を
しており、その打ち合わせ&取材で学会に参加。

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こちらはポスター発表会場。
なお、このブログで学会発表の内容を詳しく紹介しないのは、
学会発表は正式な論文になる前のものなので、扱いがデリケートな
場合が多い事、それに私の知識では発表の主旨を完璧に把握、
かつそれを要約して紹介、というのはなかなか難しい
(というか、自信が無い)点があります。
間違って理解してる可能性もありますし。
それに、学会発表には、現場で実際に見聞きするからこその
楽しさもあるんじゃないかな、とも思ったり。
発表内容に関して気になる方は、学会サイトに
過去の学会の予稿集のデータがありますので、
そちらを参考にされると良いでしょう。

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懇親会
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化石ハンター・大倉正敏さんが、
学会・研究への貢献で表彰。
大倉さんのスピーチ短いから、
良い画像撮り損ないましたよ(泣)
懇親会後も当然二次会。
今回は古脊椎研究者・学生さんメインの
飲み会に混ぜて頂きました。
で、さらにそれでは終わらず、二次会終了後は
同じホテル宿泊の面子で、ホテルのロビーで三次会。
結局、お開きになったのは午前1時。
13日は、午前中は学会会場へ。
その後はRC GEAR横山さんと共に、
アクアプラント・守亜さんが参加している作品展へ。
前もって召還していた漫画家・久正人さんに、
古生物学会帰りの学生さん等も
遊びに来られていて、予想外に楽しい集まりに。
突然、あれだけの濃い面子に会場を埋められてしまった
守亜さん始め、ギャラリーの皆さんには
迷惑掛けてしまいましたが。
今回は、75周年記念行事と年会で、通常よりも
日程が長く、また懇親会に加え75周年記念パーティーが
あったり、日程が長い分、飲み会の回数も多かったりで、
いつもの学会よりも多くの方とお話しが出来たのが
嬉しかったですね。それにRC GEARさん・アクアプラントさんが
出店されていたので、アーティスト側の仲間が期間中
常駐していたのも楽しかったです。
オマケ
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足寄動物化石博物館・澤村寛さんが持っておられた
アショロアバッグ。化石館のオリジナルグッズとか。
良いな~コレ。

日本古生物学会75周年記念行事

2010年6月14日 / 日本古生物学会

10、11日
つくば国際会議場にて古生物学会75周年記念講演
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海外からの来賓・講演者も多く、
講演はほぼすべて英語。

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75周年記念Tシャツ。
デザインは公募されたもの。
デザイン審査員の一人は小田隆さん
こういった学会の企画に小田さんのようなアーティストが
関わる事が出来るというのは、同じような活動をしている者と
しては励みになりますし、一方で、さらにこちらも勉強して
良い作品を造らなければ、と気持ちが引き締まります。

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2日目(11日)の昼過ぎにはこの状態。
予想以上の売れ行き。
今回は、新たな試みとしてアーティストの出店・物販も。

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RC GEAR製・放散虫シリーズ。微化石だけでなく、
その他の分野が専門の皆さんからも好評。
皆さん、嬉しそうに作品を見て、感想や要望を
お話しされていました。
もう一人の出店はアクアプラントs-RIMG1347.jpg
オステオレピスは良いとして、クラッシギリヌスは
攻めすぎのネタ選択だろー(笑)。
他にもシーラカンスフィギュアの展示や、
Tシャツ(現生種ネタだけど)等を販売。
こちらもなかなか好評。
今回の記念行事開催に合わせ、古生物学事典・第二版
出版。

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古生物に興味がある方なら、
手元にあると非常に楽しい&役立つ一冊です。
で、その中の骨質歯鳥類の復元画に私が描いたイラストが
使われています。
これは以前、骨質歯鳥類の復元模型を制作した事から、
お声が掛かった次第。
10日は記念パーティー、11日は講演終了後飲み会。

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学会の重鎮から、学生さん、私のような外野まで
一緒に盛り上がっております。
続く

頂きました!

2010年6月6日 / その他

先日の台湾訪問の折に大変御世話になった
Suchusさんより、1/48アジアゾウが送られてきました。

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レジンで複製したものを塗装をして、ベースまで
付けて下さっています。
この作品は、単に「アジアゾウ」を造った訳ではなく、
「林旺」という名前の、台湾市立動物園で飼育されていて、
台湾の方には馴染み深い個体を再現しています。
形だけでなく、体色・模様までも細かく観察、表現しているそうです。
また、ディテールも、レジン複製後に気になった部分は、
レジン版に更に手を加えて完成させるという拘り。

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1/48という事で、全長約10cm程度の小さなサイズですし、
またポーズや見せ方等に派手さはありませんが、
造形の丁寧さ、「林旺」というゾウへの思い入れと
こだわりが詰まっていて、さらには作者であるsuchusさんの
人柄まで伝わってくるようです。
お宅にお邪魔させて頂いたSkinkさんも、
あの後、素晴らしい作品を制作されています。
こちらの完成品も実際に見てみたいですね~。

スピノ完成、、、、、寸前

2010年5月31日 / 造形・イラスト作品

長らく未塗装のまま放置されていた
スピノサウルス、意を決して塗装開始。
今塗っておかないと、しばらく時間が取れない予感がしたので。

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缶スプレー&筆塗りです。
エアブラシは持ってますが、それほど使う機会は多くは無いです。
別に拘りがある訳じゃなくて、
一番の理由は、使用後&色交換の時の洗浄が面倒、
なんだと思う。缶スプレーも手間を減らすのが目的で
使うので、全て筆塗りでも構わないのです。
「塗装」なんてエラそうに言えない、
どちらかと言えば「ぬりえ」感覚。
もちろん、必要と思えば躊躇無くエアブラシで塗装します
メイの時みたいに)。

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今回、こだわった、、、
というより、上手くハマってくれた感じの爪。
基本的にはこれで完成ですが、あと数日様子を見つつ、
細かい部分に色を加えたり、全体の艶の修正などして
本完成です。

古ホネ団!(+追記)

2010年5月29日 / 恐竜・古生物

27日
長居駅でLOKI:さんと合流。
その日にNatureで発表されたネクトカリスの記事で
復元が大変化した話題で盛り上がりつつ(というか、
従来の復元の大ファンだったLOKI:さんを慰めつつ)、
会場へ到着。
という訳で、この日は
きしわだ古生物ゼミ大阪市大・恐竜愛好会
成安造形大学・小田ゼミ
そしてあの、なにわホネホネ団合同の
大恐竜展見学会、
通称「古ホネ団」(命名 ホネホネ団団員さん)。

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マプサウルス&ギガノトサウルス(撮影 LOKI:さん)
科博開催では無かった組み合わせ。
大阪開催の表メイン(という事は「裏」もあるのです)。

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約8年ぶりにマラウィサウルスが見れたり、、、、
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科博開催よりも至近距離でアウカサウルスが見れたのが
嬉しい。

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(撮影 LOKI:さん)
解説したり、質問したり、議論したりの
見学は楽しいです。

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個人的には、今回の恐竜展・大阪開催の裏メインだと思う
トリケラトプス頭骨。実物化石の展示という事で、
そこは角竜の研究をしているKさんに
解説を、、、、と思ったら、どうしても研究対象の
歯&顎に話が集中し、さらにそこへLOKI:さんが参戦、
内容がどんどん高度に&他のメンバー、置いてけぼり(笑)。
他のメンバーもホネや古生物に関しては、結構な
知識の持ち主ばかりなんだけど。
そして、恐竜展見学の後は飲み会!
ここでホネホネ団団長・西澤さんも合流。

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(撮影 LOKI:さん)
飲み会のテーブル2つをまたぐように
置かれているのはキツネの全身骨格。
今回は集まりに参加できなかった小田隆さんの代わりに
場を盛り上げて来いと密命を受けた(?)ゼミ生さんが
組み立てたもの。
是非ホネホネ団の皆さんに見て欲しいとわざわざ持参。
盛り上がっておりました。
西澤団長オススメのお店だけに、
料理もめちゃ美味しかったし。
今回の集まりについては、
こちらでもレポートされてますので、是非。
トリケラのフリル、えっへん
(でも、Kさんから頭部形状にツッコミ入った(笑))
*追記 LOKI:さんによるレポートが更新されました。
    なかなか充実した内容ですので、是非。

第三回 きしわだ恐竜教室

2010年5月25日 / イベント・教室・講演

23日 

この教室を企画した時の一番の目標は、
「単発で終わらせずに、定期的に回数やる事」。
で、一年で計3回(番外編も入れると4回)開催出来たので、
とりあえずの目標は達成出来たかな、と。
さらには、これまでお手伝いに来てくれている
学生さんからワークショップの提案があったり、
事前に質問を準備して来たり、大人の部に興味を
持ってくれている子供さんもいたりで、
これからの展開も楽しみ。
今は主に小学生が対象という事で、難易度も抑え気味
(と言っても、古生物学の基本を紹介したり、
 簡単とは言え恐竜の復元に挑戦して貰っているので、
 決して「簡単」ではないと思うのだけど)ですが、
参加者の理解と興味のレベルが上がれば、それに合わせた
プログラムも増やしていきたいですね。
とにかく、1年間この教室が続いたのは、
「こういう事、やってみたいんですけど~」という
学芸員でも無い素人の提案を、企画として採用しただけでなく、
こちらの至らない部分のフォローまで
して、企画者の予想以上の物に纏めて下さる
資料館の皆さんのお陰なのです。

今回は「魚」! *追記

2010年5月13日 / 恐竜・古生物

●第3回・古生物立体復元模型大会
今回のテーマは
絶滅魚類大会<デボン紀限定>
*サブタイトルを<デボン紀の海>から<デボン紀限定>に変更。
 海水性・淡水性、両方OKです。

化石魚類は、立体骨格や骨格図等が他の古脊椎動物に比べ少なく、
資料のほとんどが平面状の化石の画像・図版になると予想されます。
そこから立体的に復元するのは、魚類の知識も相当に必要ですし、
かなり難易度の高い作業になると思われます。
私とA.E.Gさんも、自分たちで決めておいて、
さてどうしたものかと、悩んでいるくらいで(笑)。
ただ、それだけに古生物復元の奥の深さを実感出来る題材だと
思います。復元画等は数多くあっても、実際に化石情報や
論文等になると入手が難しいものもあるため、
造るネタを決める際には、
「造りたいもの」よりも「(資料面から考えて)造れるもの」を
選ぶのも一つの方法かと。
という事で、皆さんのご参加、お待ちしております!

科博のトークイベント紹介

2010年4月21日 / 恐竜・古生物

●4/24(土)14:00~15:30(90分)
会場 日本館 2階 講堂
募集 100名(当日先着順:会場にて13:30から受付開始)
演題 「ゾウの歩き方、走り方の不思議」
演者 ジョン・ハッチンソン博士(英国・王立獣医大学・准教授)
詳細●4/29(木) 正午~、午後2時~(各約30分程度)
 実施フロア:地球館B2F 
「歯のあるヒゲクジラ」地学研究部/甲能 直樹
詳細どちらも非常に興味のある内容です。
東京近郊の方が羨ましいです。

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