カテゴリー「造形・イラスト作品」の記事

スピノサウルス(2010)

2010年6月25日 / 造形・イラスト作品

スピノサウルス完成です。

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縮尺は約1/25、全長62cm。
マングローブ林が生息環境の一つだった、という説、
歯のエナメル質の酸素同位体の解析からの半水棲説を
基に、マングローブ林の干潟を餌を探して歩いてるシーンを
イメージしていたのですが、今回はマングローブ林ベースは
見送り。凝ったベース造ると梱包・輸送が大変なんですよね。
ベースだけ別にもう一つ用意する、という手もありますが、
時間も無いので今回はここまで。

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前回も紹介しましたが、今回会心、というか
マグレ当たりの爪の塗装。
このスピノ製作に関しては、こちらも,
また関連記事その1その2も。
主な参考資料
・”New Information on the Skull of the Enigmatic Theropod Spinosaurus, With Remarks on its Size and Affinities.”Dal Sasso, C.; Maganuco, S.; Buffetaut, E.; Mendez, M.A. (2005)
Journal of Vertebrate Paleontology, Vol. 25 (4)
・”My theropod is bigger than yours…or not: estimating body size from skull length in theropods”.Therrien, F.; and Henderson, D.M. (2007). Journal of Vertebrate Paleontology 27 (1)
・”Oxygen isotope evidence for semi-aquatic habits among spinosaurid theropods”
Romain Amiot1, Eric Buffetaut, Christophe Lécuyer, Xu Wang, Larbi Boudad, Zhongli Ding, François Fourel, Steven Hutt, François Martineau, Manuel Alfredo Medeiros, Jinyou Mo, Laurent Simon, Varavudh Suteethorn, Steven Sweetman, Haiyan Tong, Fusong Zhang and Zhonghe Zhou. Geology; February 2010; v. 38; no. 2; p. 139-142; DOI: 10.1130/G30402.1
(アブストラクトのみ参考・「恐竜の楽園」2010/02/09(Tue)に日本語での簡単な紹介有り)
「肉食の系譜」・「ナショナルジオグラフィック」2007年12月号
・「恐竜2009 砂漠の奇跡 公式カタログ」

スピノ完成、、、、、寸前

2010年5月31日 / 造形・イラスト作品

長らく未塗装のまま放置されていた
スピノサウルス、意を決して塗装開始。
今塗っておかないと、しばらく時間が取れない予感がしたので。

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缶スプレー&筆塗りです。
エアブラシは持ってますが、それほど使う機会は多くは無いです。
別に拘りがある訳じゃなくて、
一番の理由は、使用後&色交換の時の洗浄が面倒、
なんだと思う。缶スプレーも手間を減らすのが目的で
使うので、全て筆塗りでも構わないのです。
「塗装」なんてエラそうに言えない、
どちらかと言えば「ぬりえ」感覚。
もちろん、必要と思えば躊躇無くエアブラシで塗装します
メイの時みたいに)。

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今回、こだわった、、、
というより、上手くハマってくれた感じの爪。
基本的にはこれで完成ですが、あと数日様子を見つつ、
細かい部分に色を加えたり、全体の艶の修正などして
本完成です。

ゲロトラックス

2010年1月26日 / 造形・イラスト作品

ちょっと前フリしてたゲロトラックスの話。

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今回、根付風ストラップとして製作したものです。
ゲロトラックスを造ろうと思って、集めた資料を
見ていた時に気になったのが、
「ゲロトラックスって、いつも眼がデカく表現される
 んだけど、これって何が根拠?」
と言うのも、確かにゲロトラックスの頭骨の眼の穴は
非常に大きいのですが、現生のオオサンショウウオも
眼の穴は大きいんですよね。
さらに、論文に掲載されている頭骨の側面図を
見ると、上下の厚みが薄く、とてもそんなに大きい
目玉が収まる様には思えない。
そこで、さらにいろいろと調べたところ、
眼の大きさが推測出来る証拠は無いらしい。
哺乳類以外の脊椎動物の眼には強膜輪・強膜骨という
骨があり、これが見つかれば眼の大きさも推測出来るんですが、
これがゲロトラおよび近縁種では未発見ぽい。

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09年大恐竜展のアンガトラマの強膜輪。この強膜輪が
実際に発見されたモノなのかは判らないのですが。
という事で、今回はオオサンショウウオほどでは無いものの、
一般的な復元より小さめの眼で造形しました。
何故、大きな眼のゲロトラが定着しているか、理由は
定かではありませんが、記載論文に掲載された、
もしくは発表後すぐに眼の穴の大きさを反映させて
描かれた復元図が参考にされる事が多かったのでは、
と推測。
記載論文は見れなかったので、ハッキリした事は判りません。
また、既存の復元図に頼らず、自身で骨格を検討して
やはり眼が大きいと判断したアーティストも居ると思います。
ゲロトラのもう1つの特徴である外鰓も、
ちょっと不思議に思っているのですが、眼を小さくした上に
外鰓も無しとなるとゲロトラだか何だか判りませんし、
また記載論文に鰓の構造の記述があるようなので、
それっぽく造ってみました。
面白いアプローチが出来たんじゃないかな、と
思っていたんですが、完成後にあのダグラス・ヘンダーソンが
眼小さめ、外鰓無しゲロトラ復元イラストを描いていたのを発見。
世の中、そう上手くは行かないものです。
外鰓無し表現は思い切り良いなぁ~。
もしかして何か新発見があったとか?、、、
ドキドキしますねぇ、、、。

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こちら、眼の部分をイエローのアクリル球に
置き換えたもの。光の加減によっては、
いい感じに光ります。
黒眼版、アクリル球版、それぞれ今度の
ワンフェスで販売予定です。
今回の作品制作で参考にした主なサイト・資料
Hairy Museum of Natural History・Jenkins, Farish A. Jr., Neil H. Shubin, Stephen M. Gatesy,
and Anne Warren. 2008. Gerrothorax pulcherrimus from the upper
Triassic Fleming Fjord formation of East Greenland and
a reassessment of head lifting in temnospondyl feeding.
Journal of Vertebrate Paleontology 28(4): 935-950.
・「DAWN OF THE DINOSAURS LIFE IN THE TRIASSIC」
・「THE RISE OF AMPHIBIANS」
・「La Terre avant les dinosaures」
・「古脊椎動物図鑑」(朝倉書店)
・「両生類の進化」(東京大学出版会)
・「大山椒魚」(BIBLOS)

メイ 塗装その2、のつもりが完成編

2010年1月18日 / 造形・イラスト作品

メイ、途中経過を記録し忘れて(面倒だったとも言う)
完成していまいました。

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メイ・ロン Mei long
画像クリックするとちょっと大きくなります。
作品の大きさは、尻尾を伸ばしたとして約40㎝。
発見されたメイは、全長約50cmと考えられているので、
小型の個体もしくは亜成体とすれば、実物大と
言い張れない事もない、、、、かな。

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大型獣脚類との比較はもちろん、小型獣脚類の中でも
メイを含むトロオドン科は歯が小さいように思います。
そこで、歯の縮小化と共に、それを補うように
唇の部分が角質状になっている、という表現にしています。
実際にそんな風な進化をしたかどうかは分かりませんが、
同じように獣脚類としては歯が小さいアベリサウルス科の
ルゴプスやラジャサウルスには、唇部分が角質化していたかも、
という説もあるので、それを参考にしました。
前肢の羽根については、こちらの記事を。
といっても、生態が判らない状態で
羽根の表現というのは、なかなか難しい所ですが。

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前回の段階では上手く纏まるか不安でしたが、
それなりにちゃんと纏まったんじゃないかな、と。
ギャプラン、ボリノーク・サマーン、ハンマ・ハンマ、
パラスアテネ、ザク3改と、何故か好きなMSは緑色ばかりなので、
今回のザク色塗装は楽しかったです
(好みのMHになると緑色は関係無いんだよな~)

メイ 塗装その1

2010年1月16日 / 造形・イラスト作品

造形は終了したものの、塗装しないまま
数か月放置のメイ(Mei long).
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忙しかった、ってのもありますが、
それよりも色が決まらなかったんですよね。
このブログを見てる方にも
「あのメイは、やっぱり白にするの?」
と言われるくらい、メイと言えば白。
確かに似合うし。
でも、だからこそ敢えて白は避けたい。
羽毛付恐竜で白色は、自分の作品でもすでに2回やってるし。
と言って、茶色系もな~。これも前にデイノニクスでやってるし、
メイの眼の色が赤だから、それに羽毛が茶色だと
せっかくの眼の色が目立ち難い。
と、先日、六甲昆虫館にて倉谷先生とお会いした時の事。
趣味で戦艦や戦闘機のプラモデルを造られて、これが結構な
腕前の倉谷先生とプラモデル用の塗料の話をしていて、
緑系の色が話題に。
で、家に帰って真白のメイを見て
「そうだ、緑! ウグイス! ザク!」
早速、ザク用のカラー(量産型の薄い緑色の方)
を購入。
何故わざわざザク用を選んだかというと、
今までの経験では、同系の色ならガンダムカラー
(クレオスのラッカー塗料の、ガンダムプラモデル
塗装用に調色されているシリーズ)のほうが
発色が綺麗な気がするから。
なので、希望に近い色がガンダムカラーにあるなら、
それを使う事にしています。

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まず下塗り。ザク色に染めてみました。
羽毛のフワッとした感じを出したかったんで、
珍しくエアブラシ使ってます。。

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次、表皮の出ている部分を筆塗り。
思い切った色にしております。
計算の上での色の選択のはずなんですが、
この状態をみてかなり不安になる。
まぁ、塗りきってみて、それでも変だったら
腹括って塗り直そう。
次回に続く。

変ワニ戦線

2010年1月13日 / 造形・イラスト作品

いざ、変ワニ戦線へ
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「変ワニって、普通のワニやん」と言われてしまいそうですが、
このワニ、背中の鱗板の配列と形状に特徴があるらしく、
十分に変ワニなのです。
今度の学会にこのワニの論文を書かれた研究者さんが
来られるようなので、学会中に機会があれば
直接この作品を見て頂いて、間違いがあれば
そこを修正して完成出来れば良いな、と。
という事で、右半分がほぼ完成したこの状態で
作業はストップ。全身完成させてしまうと、
修正も大変ですからね。
変ワニと言えば、やっぱりアルマジロスクス
面白そうですね。組立骨格見てみたい。

シモスクスも造りたいんですが、去年のSVPで
気になる発表があったので公式発表まで様子見中。

スピノサウルスその3(かな?)

2010年1月7日 / 造形・イラスト作品

年明け最初の造形日誌はスピノサウルス。
年内完成はやっぱり無理でした。

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縮尺1/25で全長60cm。
尻尾の向こう側はまだ未完成ですが、
作業が出来れば明日にでも本体は完成の予定。
ただ、他の作業の合間の時間に進めるので、
実際に完成は何日後になるやら。
それに、ベースもそれなりに造ってみたいので、
塗装も含めた完成になると春になるかも。
造形じゃないですが、こういうのも。

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ちょっと前にタニストロフェウスの論文
( Tanystropheus longobardicus(Reptilia, Protorosauria):
re-interpretations of the anatomy based on new specimens
from the Middle Triassic of Besano
(Lombardy, northern Italy)
Stefania Nosotti (2007)
Memorie della Società Italiana di Scienze Naturali e del Museo
Civico di Storia Naturale di Milano )

を入手しまして、それに掲載されていた
Massimo Demma氏による頭骨図が凄く良くて、
またタニストロフェウスの頭骨が
想像していたのと結構違う形だったので、
年末に衝動買いした安いペンタブで
ちょこちょこ描いてました。
頭骨図をスキャンして、その上にレイヤー掛けて
描いてます。つまり、いつも私がやっている
復元画ワークショップと同じ事やってる訳です。
絵は専門外で、陰影の表現とか出来ないし、
着色なんて以ての外。これくらいが限界ですね~。
これだって、頭骨図そのままトレースしてるから
まだマシなんであって、元ネタ無しで全身なんて事に
なったらデッサン狂いまくりなんで。

スピノ&ストラップ新作

2009年11月15日 / 造形・イラスト作品

スピノサウルス
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年内完成は厳しいかな。
体の各部で鱗の大きさや形状を変えたりと
微妙な工夫はしていますが、全体的にはいつものように
地味な作風です。

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根付風ストラップ新作原型
ドレパナスピスDrepanaspis(上)&
ゲロトラックスGerrothorax(下)。
ゲロトラックスは頭骨の眼窩が非常に大きいので、
眼も大きく表現される事がほとんどですが、
今回は敢えて小さめの眼の可能性を考慮してみました。

umrさんも同じような表現の作品を制作中で、
期せずして
「ゲロトラ、眼が小さいのもアリなんじゃないのキャンペーン」
な感じに。
21日土曜は豊橋です(日帰り)ので、宜しくです、
と業務(?)連絡。

ウタツサウルス完成

2009年10月31日 / 造形・イラスト作品

ウタツサウルス完成
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作品サイズ 全長35cm スケールは約1/10
体表はウロコ状なのを強調して、原始的な
雰囲気を出したかったのですが、魚竜としては原始的といっても、
水中生活への適応という点ではすでに完成している
デザインにも思えるので、ここまでのウロコの表現は
余計だったかもしれません。
あと、首もちょっと長過ぎかな。

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今回のオマケはサウリクチス(Saurichthys)
魚はやっぱり難しいです。
ちゃんと系統とか反映した表現が出来れば良いのですが、
なかなか大変で、、、。
製作にあたり使用した主な参考文献
・ウタツサウルス
「翼竜の謎」 金子隆一 他
「恐竜解剖」 クリストファー・マクガワン
「ジュラ紀の海の支配者-魚竜」藻谷亮介
(「地球を支配した恐竜と巨大生物たち」別冊日経サイエンス)
「Ichthyopterygia :Handbook of Paleoherpetology Part8」
 Christopher Mcgowan & Ryosuke Motani
「SEA DRAGONS」Richard Ellis
・サウリクチス
「古脊椎動物図鑑」鹿間時夫
「THE RISE OF FISHES」 JOHN A.LOMG
「DISCOVERING FOSSIL FISHES」 JOHN G.MAISEY
もちろん、ネット上での情報も随分参考にしています。
その他、魚竜・ウタツサウルスを研究題材にされている
東大・中島さん北大・相原さん
いろいろとお話を伺えた事も参考になりました。
上手くそれを作品に反映出来たかどうかは不安ですが、、、。

ウタツサウルス

2009年10月13日 / 造形・イラスト作品

長らく放置していたウタツサウルスの塗装開始
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ウタツサウルス(ウタツ魚竜)は、現在見つかっている魚竜の
中でも非常に原始的な特徴を持っている種で、
魚竜の進化に関する記事や論文では必ずと言っても
良いほど言及される、日本を代表する古脊椎動物の一つ。
このウタツサウルスのように、日本でも世界的に重要な
古生物の標本が結構いろいろ発見・研究されています。
そろそろ、長鼻類の勉強もちゃんとしないと
ダメかな~と。

R00101840002.jpg
何か、他にお薦めの本・資料等あれば
お知らせ下さい。
相変わらずの記憶容量チョビットbitなので、
読んだ端から忘れますが。
まずは「そういや、あの本にそういう事書いてたな~」
くらいの事が頭に残るのが目標。

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