アシスタント 1日目

2007年1月7日 / その他

以前にも紹介した、荒木一成さんの
恐竜模型教室のお手伝いを2日間する
事になり、今日はその1日目。
全くの素人さん、しかも親子連れの参加者に
どういう内容で造形を教えるのかと
興味と心配が半分ずつでしたが、
そこは流石は経験豊富な荒木さん。
無駄無く、無理無く、それでいて中身の濃い
内容で、2時間の教室にも関わらず塗装まで
辿り着く参加者も。
アシスタントの私やSHINZENさんも、
その段取りに乗ってしまえば良いので、
意外にアドリブも少なくて済んだり。
また、お子さんの手伝いをする内に、だんだん
眼が真剣になってくる親御さんが微笑ましく、カッコイイ。
という事で、初日の様子は荒木さんのブログを。
今夜は会場近くのホテル泊。
昼食時、私がソフトクリームを食べようとして
時間の都合で泣く泣く諦めた事を覚えていたSHINZENさん、
ホテル到着後「近所にミニストップがあったんで、
ソフトクリーム食べに行きましょう!」
と誘いに。
良い奴やなぁ、アンタ。
そんなSHINZENさん、今、隣の部屋でワンフェス用の新作
造ってるらしいです。頑張れ~!壁越しに応援してるぞ~。

あれから240年

2007年1月4日 / その他

まずは、年賀状頂いた皆様、ありがとうございます。
「出さない宣言」しておいて何ですが、
貰っちゃうとやっぱり嬉しいです。
お互い年賀状を出さなかった皆さん、
今年中に是非どこかでお会いして、その時に年始の
挨拶をしましょう。とりあえず、2月のワンフェスまでは
模型業界松の内、って事で(ダメ?)。
では、事件収束後240年、
それに去年やり残した事なんで!
『ジェヴォーダンの獣』祭り
uIMG0001.jpg

前回観た時は、造形作業しながら
途中何度も中断入れてだったんで、
2時間越えを一気に観たらキツいかな、
と思ってましたが、やっぱり良いよ。
一度目よりも印象良くなったって。
ネットで検索掛けると、あまり芳しい
評判が無いんですが、既製の映画の枠や
見方で語るとイカンと思うのですよ、この映画。
どう見てもカレーなのに、実はハヤシライス。
カレーを期待すると肩すかしだけど、
ハヤシライスの味に目覚めると病み付き、みたいな。
この映画一本だけで一つのジャンルを確立しかねない。
史実に元を取ってはいるものの、いろんな要素を
ぶち込んで荒唐無稽、でも映画としては極めて王道、
衣装・セット等の美術に独特の美しさ、という点で
似ているのは『魔界転生』『ドラゴン・イン』、
どっちも大好きな映画。
キャスティングに間違いが無い点も共通
(『魔界転生』の宮本武蔵はちょっとアレな気もするが)。
出来がどうの、というより存在が凄い映画なんだけどな、個人的には。
で、以下ネタバレ含みますので、注意
(コメントもネタバレOKで)。
______________________________
続編なんてこれっぽっちも考えてない
キャラクターの使い切りっぷりが気持良い。
出て来るキャラクターほぼ全員、良い事悪い事、
やるべき仕事やりきって終わるし
(モニカ・ベルッチの仕込み扇子、カッコイイ!)。
おかげで、結構救いの無い話にもなってますが、
じゃぁそこでハッピーエンドにしてたら
良いかと言えば、決してそうじゃない。
「映画にバッドエンドやネガティブな要素を
 求めない、映画はカッコ良くて綺麗で楽しくてナンボ」
が持論の私でも、この映画の展開には納得してます。
トマ・タブシェ(若公爵)も、
そもそもジェヴォーダンの獣事件の
背景をあの時代性に求める脚本では、
ああならざるをえないはず。
さて、ここから蘊蓄。
まずは、主人公・グレゴワール・ド・フロンサック。
博物学者にして医学の心得もあり、
格闘・戦闘能力も抜群、絵も上手い、とまさに典型的な
万能主人公ですが、モデルのような人物が実在します。
映画の年代とほぼ同じ頃のフランソワ・ルヴァイヤンがその人。
南アメリカで育ったためかインディオの
吹き矢を使いこなし、フランス王立動植物園の職に就いた後は、
アフリカを旅して旅行記を出版、また今でも評価が非常に高い
動物学書を数々製作、ヨーロッパ人として
初めて野生のキリンを仕留めた人物でもあります。
直筆のキリンの絵が残っており、まさにそのままフロンサック。
18世紀後半というのは、博物学においてフランスが
西洋文化園をリードしていた時代。
劇中、フロンサックに貴族が「ビュフォン君は元気かね」
と尋ねるシーンがありますが、ビュフォンといえばこの通りの方
著書の『博物誌』は、18世紀にフランスでもっとも
売れた本の1つで、インテリ家庭にはたいがい1セットあったとか。
当時の博物学書というのは、1セットで今でいう車1台分の
価格がザラなので、持ってるだけで金持ちの証。
ちなみに、リンネ、ルソー、日本では平賀源内が同時代人。
ニュートンが1世代前で、1世代後が進化論のダーウィン。
余談ですが、ラマルクってビュフォンの子供の
家庭教師してたそう。女の子口説くときのネタにどうぞ。
さらに余談。フランスの博物学に対する熱意は、
フランス革命後も消える事無く、その後には
ナポレオンの指揮の元、あの『エジプト誌』を生み出す事になります
以前、その『エジプト誌』実物を直接手に取って
観る機会があったんですが、あれはもう本ではなくて
完全に工芸品・美術品・盾(防御+10 素早さ-20)
でございました。スンゴいデカイし重いし。
ちょっと無理言って、鳥類画の名手と言われるバラバン描く
ワシ・タカ類の画も見せて貰いましたが、
この当時の博物画の約束に則って原寸大(だったはず)
なのでやっぱりデカイ。
ここら辺のさらなる蘊蓄は、荒俣さんの『ブックライフ自由自在』を是非。
前述のルヴァイヤンが仕留めたキリン、
死体はパリに運ばれ剥製にされたそうで、それに影響を
受けたのがラマルク。ラマルク、小ネタ多いな。
毛皮付きマスの話は、17世紀になって
スコットランド人が新大陸に移住するように
なってから、ヨーロッパに伝わったそうで、
実際あの当時結構知られた話のようです。
今のカナダに棲息する、との設定だったそうなので、
このあたりフロンサックの経歴とも矛盾がありません。
まぁ、日本の人魚のミイラのようなネタだったんでしょうね。
劇中、フロンサックがあっさりネタばらしをするのは、
そういう噂を信じないフロンサックの博物学者・
科学者としての見識と、アメリカでの経験、
そしてユーモアのセンスも持ち合わせた
主人公としてのキャラクターを表現したものかと。
劇中登場する「獣」のロボット(アニマトロニクス)が
妙に出来良いな、と思ってメイキング観たら
ジム・ヘンソンスタジオ製!スタジオにはスケクシスが! 
それだけで星1つ追加。
CGも担当しているようですが、そちらはハリウッド等の
他の1流SFXスタジオに比べると、ちょっと甘い。
ただ、ヘンソンスタジオ作品の品格というのが
なんとなく感じられ、それがこの映画の雰囲気に
よく合っているんじゃないかと。
音声に関しては、こちらが日本人だから、というのも
あるとは思いますが、吹き替えの方が良いです。
声と俳優の容姿がバッチリなんですよ。
吹き替えの後にオリジナル(フランス語)聞くと、
なんか違うんだよな~。
と、とりあえずこんな所で。
劇場に観に行かなかったんで、
パンフレット持ってないんですが、似たようなネタ
書かれてるような気がする、、、荒俣宏、鹿島茂あたりに。
参考図書 『図鑑の博物誌』(集英社)
    『大博物学時代』(工作舎)
    『ブックライフ自由自在』(集英社文庫)
             以上 荒俣宏 著
    『博物学の黄金時代』(リン・ハーバー 国書刊行会)
    『世界動物発見史』(ヘルベルト・ヴェント 平凡社)
    『世界贋作大博覧会』(吉村作治 編 ワールドフォトプレス)

あけました

2007年1月1日 / その他

明けましておめでとうございます。

IMGP35790001.jpg

アルケオテリウム
イノシシに近い系統の絶滅哺乳類。
画像に写る最低限の部分しか造ってませんし、
復元としても詰めが甘いので、
「なんちゃってアルケオテリウム」。
ちなみに製作時間ですが、録画していた
「オールザッツ漫才」と「楽屋ニューススペシャル」を
製作中に見終わったと言えば、およその見当が付くと思います、
って、また関西ローカルネタかよ。
と、こんな感じで今年も頑張りますので、
宜しくお願い致します。

忘年会

2006年12月30日 / その他

去年に続き、今年も参加。
今回も誘って貰えるのかと、
M-1決勝進出組発表を待つ芸人のように
ドキドキして待ってましたが、
無事お声を掛けて頂きました。良かった~。
参加者は、荒木一成さん速水仁司さん、銀さん、嶋田さん
(ここまではこの忘年会の元々のメンバー)、
で今回2度目の参加の私にSHINZENさん、さらに初参加の
G-tempest・渡辺さんネコワークス・井上さんの計8人。
井上さんとは、随分以前からお互いのキットを
買い合ったりと面識はあったんですが、ワンフェス会場以外で
ゆっくり話をするのは初めて。
ちょうど古代ザメを造っている最中だったので、
サメに詳しい井上さんに色々相談。
また、前回の記事で紹介したZillaのキットを
仮組した物を皆さんに見て貰った所、
速水さんからシッポの流れ、構成を褒めていただきました。
速水さんといえば、カッコイイポーズ・空間構成に関しては
造形業界のトップの技量の持ち主。
さらに、私にとっては子供の頃から憧れていた
原型師でもある訳で、そんな方に例え作品の一部でも
評価されるというのは、嬉しいどころか、
ちょっと泣きそうになったよ、マジで。
そして、荒木さんからは、怪獣作品を見せた時は恒例の
「怪獣に専念して、恐竜は止めちゃえ」という
励ましの言葉を頂きました(笑)。
これを聞かないと、なんかちょっと落ち着かない。
銀さん、嶋田さんは何かと気を使って頂き、
それでこの忘年会は私のような新参者でも
本当に居心地が良いんですよね。
来年もこの忘年会に堂々と参加出来るように頑張らないと!

マグロ喰ってて何が悪い!

2006年12月26日 / 原型担当商品

久々に原型担当した
キャラクター物ガレージキットです。

US-G0010001.jpg
「大怪獣Zilla」(G-tempest)>商品詳細Zillaという事になってますが、アメリカ合衆国に
現れた個体と同じと考えて貰って良いです。
以前造ったコイツは、私が原型師になる
キッカケになった作品。
今の技術で、もう一度造りたいと思いつつも
なかなかその機会が無かったのです。
お誘い頂いたG-tempest・渡辺さんには感謝。
久々の怪獣ガレージキットの原型という事と、
恐竜に比べ造り込まなければならない要素が
多いデザインで大変でしたが、でも造ってて楽しかったですね。
GodzillaからGodが抜けてZilla、
堕天使っぽくてカッコイイし。

ナースが来た

2006年12月18日 / その他

ナースといっても宇宙竜じゃなく、看護婦さんのほう。
雑誌での紹介や、devi2kさんのサイトを見ていて
気になりつつも購入する機会を逃していた、
はるばるどーるの看護婦さんフィギュア、
在庫発見によるキットの通販再受付の告知があったので
買っちゃいました。

IMGP35770001.jpg

とりあえず仮組み。
少しの調整で自立します。
ベースは着色済み。樹脂石膏という素材で
複製されているので、手に持つとひんやりしていて、
病院・研究室の雰囲気。
この画像では、左右の看護婦さんの右腕を
指定とは逆にしてみています。

IMGP35890001.jpg
こちらは指定どおり。
眼と唇にはコピック&ピグマで簡易に
色をつけました。
ところで、前述のdevi2kさん、ウチの恐竜キットの
お客さんでもあるんですが(ついでにクラフトワーク仲間でも)、
イベントでの購入品の報告を見ていると、
どうも趣味が似通ったところがあるようで
「あ、それオレも欲しいかも」な品が多い。
特に、ここで紹介のプロフェット5&オデッセイ
に関しては、その後イベントで販売されていない事もあって、
羨ましいを通りこして憎いとさえ!
いいな~~~欲しい~~~!

マチカネワニ・シンポジウム その2

2006年12月13日 / 恐竜・古生物

2日目
この日は、現生・化石種のワニの骨格を
スケッチして、それをマチカネワニの骨格と
比較・検討してみよう、という内容。
講師は小林快次先生と桂嘉志浩先生。
この御二人の専門家を迎えて、約20人の参加者で2時間の
ワークショップって結構贅沢な事ではないかと。
スケッチ開始前に、小林先生より
「人間は物を見てるようで見ていない。 
 今回、骨をスケッチして貰う事で
 骨についての理解が格段に深まり、
 これから博物館で骨格を見る時に、
 観察の仕方が随分変わるはずです」
という主旨の事を言われたのですが、実際その通り。
スケッチ中や終了後の小林・桂両先生の解説の時には、
これまでおよそ骨の知識がそれほど無かったであろう
参加者の方からするどい質問が出ていました。
マチカネワニと同種と考えられていた
キシワダワニの復元模型を、
標本を所蔵するきしわだ自然資料館の皆さん
話を伺いながら製作していたのですが、
今回の小林先生の論文&講演で、マチカネワニの復元が
大きく変わる可能性が示唆されたため、
マチカネワニとキシワダワニの関係の再検証も含め、
振り出しに戻った状態に。
つい先日完成した模型もボツとなりそうな訳ですが、
これこそが古生物復元の醍醐味かも知れません。
新発見や学説で生物の姿がどんどん変わるのは、
古生物ならではの楽しさです。
キシワダワニの模型を小林先生に見て頂いた所、
マチカネワニの特徴を絵を描きながら
丁寧に説明して頂いたので、
これはもう一度最初から造らなければ、と。
桂先生の所属される岐阜県博物館のサイト
恐竜の骨格標本が結構充実しています>所蔵標本リストより。
機会があれば是非行ってみたいですね。

マチカネワニ・シンポジウム

2006年12月12日 / 恐竜・古生物

マチカネワニ・シンポジウム1日目
初日は各分野の研究者による講演。
どの先生の話も、非常に分かりやすく、
内容も興味深いものばかり。
また、先生方の話の展開や纏め方に無駄が無く、
この手の講演としては珍しく、スケジュールよりも
若干早く進みました。
そのため、質問時間も結構しっかりとあり、
また最後には、来年新設される大阪大学総合博物館に
展示されるマチカネワニ復元図の草案を
見ながらのディスカッションの時間があったため、
かなり充実した質疑応答が参加者と研究者の間で
行われました。
今回のシンポジウムでは、マチカネワニそのもの
だけの研究についての発表だけではなく、
百原先生による、マチカネワニが棲息していた頃
の植生についての講演、
冨田先生によるマチカネワニと同時代の
哺乳類についての講演と、マチカネワニを取り巻く環境まで
含んだ内容だった事が良かったですね。
桂先生の、マチカネワニの骨格に残る
傷跡からの生態の類推も、先生の話術の巧みさもあり、
非常に面白い(御本人によると、大阪での講演という事で、
笑いの要素を意識して講演内容を組み立てたとの事)。
最後のディスカッションでは、参加者からの
質問に、先生同士でさらにそれを発展させながら
答えを導き出されて行く所に、古生物学の面白さを実感ました。
2日目については、次回

セガ・アマルガサウルス

2006年11月20日 / 原型担当商品

私が原型を担当した、セガ・プライズ景品用フィギュア
アマルガサウルスの製品版が届きました。

MGP3559.jpg

全長約50cmと結構大きいです。
恐竜キングバージョンなので、かなり派手めな塗装ですね。
全体にちょっとツヤがあったので、
エナメル塗料のフラットブラウンをシンナーで薄く溶いた
ものを全体に筆塗り。これでツヤを押さえ、また
凹部にブラウンが残る事で、ディテールを強調する事にもなります。
こちらが塗装前
MGP3565.jpg

塗装後
MGP3564.jpg

口や眼には塗装しない事で、逆にツヤを
残してあります(この画像では分かり難いですが)。
11月中には出回る事になっているそうです。

戦利品

2006年11月17日 / 恐竜・古生物

遅くなりましたが、SVPにて購入・入手した物の報告を。

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両生類の1グループ・MICROSAURIAの専門書。
『シュイルトクレーテン・クロコディーレ・ブリュッケエヒゼン』
ワニ・カメ・ムカシトカゲを扱った本。
『ワニと龍』(青木良輔 著)でも紹介されています
(書名の読みも青木氏の本より)。
生体スケッチと、カメなら甲羅の背面・腹面
(種類によっては頭骨も)、
ワニは頭骨の3~4面図スケッチがあり、
文章が読めなくても充分面白い。
読もうたってドイツ語なんで到底無理なんですけど。

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『Encyclopedia of Paleoherpetology』
の獣歯類(Theriodontia)と鰭竜類(Sauropterygia)の巻。
獣歯類は哺乳類型爬虫類(獣弓類)の1グループ、
イノストランケビア等ですね。
鰭竜類はプラコドゥス等の板歯類やノトサウルスやプレシオサウルス
のような首長竜を含みます。
このシリーズ、日本の専門書ではあまりお目にかかれない
古生物が取り上げられ、また図版も豊富なんで全部纏めて
欲しいくらいなんですが、如何せん価格が高いんですよね。
SVPで少しずつ買い足すのが今後の楽しみになりそうです。

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『VERTEBRATE PALEONTOLOGY』
そのものズバリ『古脊椎動物』、
そして著者は故Alfred S.Romer、
脊椎動物・古脊椎動物学の超エラい人。
SVPにおいて優れた研究に送られるローマー賞は
この方にちなんだものです。
初版33年、私が買ったのは53年発行の物ですが、
図版も多いですし、SVP初参加記念として
相応しいかと思い購入。

MGP3581.jpg
マーク・ハレット氏からの頂き物。
といっても、特別なモノじゃなくて
ハレット氏の作品展示コーナーで、
見学の方に配っておられました。

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