エウヘロプス Euhelopus

2010年12月15日 / 造形・イラスト作品


s-エウヘロプスEuhelopus1
エウヘロプス 
Euhelopus zdanskyi
作品サイズ 50cm
縮尺 約1/20
:
作業の合間に造っていて、途中経過を記録せずに
完成してしまった作品。たまにそういう事があります。

s-エウヘロプスEuhelopus
首はもう少し太いほうが良かったですね。
 エウヘロプスは私の子供の頃から恐竜図鑑等には結構紹介されていてなじみ深い恐竜です。発見されている化石は首の保存状態が非常に良く、竜脚類の首の姿勢や可動域の論文等では頻繁に引用・紹介されるという事で、学術的にもメジャーな恐竜と言えるかも知れません。一方で、頭部や胴体は未発見の部位も多いため、全身像は掴みにくい恐竜でもあります。全身復元骨格も2010年の時点では無かったはず。
 また、エウヘロプスは近年の研究で系統的な位置が大きく変わった竜脚類でもあります。以前はマメンチサウルス等に近い、大型竜脚類としては比較的原始的な位置と考えられていましたが、現在ではブラキオサウルスと同じティタノサウルス形類という、より進化型の位置に属しています。今回の作品も、その系統的な関係も考慮しつつ、プロポーションを決めています。

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 頭部は復元された頭骨を元にしていますが、新しい化石が発見されているそうで、今後復元を見直す必要があるそうです。

s-R0011950.jpg
 背中は”Reconstruction of the Thoracic Epaxial Musculature of Diplodocid and Dicraeosaurid Sauropods”
Daniela Schwarz-Wingsの記述を参考に、脊椎の棘突起があまり目立たない、平らな背中にしてみました。ただし、この論文はディプロドクスやディクラエオサウルスのディプロドクス類についてのものなので、それをそのままティタノサウルス形類のエウヘロプスに当て嵌めるのは無理があるかも知れません。>参考記事
 前後肢の爪の数は「THE SAUROPODS」”Steps in Understanding Sauropod Biology” Joanna L.Wrightを参考に、前肢は第一指(親指)の一本のみ、後肢は第一~四指(親指~薬指)の4本です。上記の記事では、竜脚類の前後肢爪の数に種類よって違いがある事が示唆されているようです。
 エウヘロプスの骨格は、2010年の福井県立恐竜博物館・特別展にてレプリカが展示されていました。子供のころから本では何度も見ていた骨格だったので、それ実際にを見れたのが嬉しかったですね。>特別展の様子
その他、主な参考資料
エウヘロプス標本に関して
・”Redescription and reassessment of the phylogenetic affinities of Euhelopus zdanskyi     (Dinosauria:Sauropoda) from the Early Cretaceous of China”.
 Wilson, Jeffrey A.; and Upchurch, Paul
・”Dinosaurian remains from Mengyin, Shantung”
  C. C. Young.
・「THE DINOSAURIA」(second edition)
・「アジア恐竜時代の幕開け」福井県立恐竜博物館10周年記念特別展図録
首と頭の繋がりの角度
・”Structural Extremes in a Cretaceous Dinosaur”
  Sereno PC, Wilson JA, Witmer LM, Whitlock JA, Maga A, et al.
四肢の左右間隔に関して
・”BURLY GAITS: CENTERS OF MASS, STABILITY, AND THE TRACKWAYS OF SAUROPOD DINOSAURS”
 DONALD M. HENDERSON
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