SVP・古脊椎動物学会inノースカロライナ その1
2012年10月25日 / SVP・古脊椎動物学会, SVP2012・ノースカロライナ
無事、アメリカから帰国出来ました。
今回は現地での体力温存を優先したので
リアルタイムなブログ更新は出来ませんでしたが、
その分、時間を掛けてじっくりレポート出来ればと思ってます。
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10月16日
前日夜に今回のSVP・古脊椎動物学会会場の
ノースカロライナ州・ローリーに到着。
学会発表は翌日からなので、この日は
ノースカロライナ自然科学博物館見学に
1日フルに使う事に。
窓越しに見えるアクロカントサウルス骨格に
気分が盛り上がります。
エントランスホール。
そのアクロカントサウルス。
ディスカバリーチャンネルのアクロカントサウルス特集番組で
この骨格が何度も出てきたので、
世界一有名なアクロカントの展示かも知れません。
こうやって実物の前に立てるとは。アクロカントは
日本でも何度も見ていますが、テレビや本で観た展示を見ると、
また違う思いが湧きます。
というか、この上から見下ろすアングルで見れたのが
嬉しい!
こちらの実物大模型はプレウロコエルス。
有名な獣脚類と竜脚類の並走しているような足跡化石は、
アクロカントサウルスとプレウロコエルスのものと言われています。
前肢・後肢の爪の表現もしっかりしています。
爪の有無、本数はその復元にどのような情報・学説が
使われているかが良く分かるポイントの一つ。
大型竜脚類の前肢の爪は第1指(親指)のみ、という復元が
スタンダードですが、この模型では系統関係と足跡を参考に
爪は全く無しの表現のようです。また。後肢の爪も3本が
スタンダードですが、こちらでは4本ですね。これも、こういう
研究が出ています。
2匹の上には翼竜。これも羽毛までしっかり表現されています。
アルバートサウルス&エドモントサウルス。
エドモントに隠れるようにいるパキケファロサウルス。
そして、ここの恐竜展示の裏、いや表目玉の
テスケロサウルス。ウィロという愛称が付けられています。
心臓の痕跡が残っている、という事で話題になりましたが、
現在は反論も出ています。とはいえ、骨格の保存状態が良い上に、
皮膚痕も残っているという事で貴重な標本である事に
変わりはありません。
心臓の痕跡と言われた部分と、腹側面に残る皮膚。
メガテリウム(オオノマケモノ)
ほ乳類関係は少なめ。
古生物関連の展示はそれほど広くはありませんが、
自然史関係は充実しています。
クジラ類
博物館の展示物製作解説の部屋。
かなりしっかりした作りです。
キッズコーナー。いろいろな物に触ったりできます。
ミツバチの巣。窓に伸びた透明の通路を使って
ハチが建物の外と自由に
行き来が出来るようになっています。
全体的に歴史ある重厚な博物館、というより
子供~学生に自然の不思議さ・面白さを伝えることが
主目的の科学館、という構成&展示です。
ですが、その「子供向け」が本気なので
十分大人でも楽しめる内容になっています。
館内にあるカフェ・「アクロカフェ」
一応軽食も販売してますが、しっかりと食事をしたいのなら、、、(後ほど紹介)
ミュージアムショップ。
アメリカの博物館は規模が大きく、さらに個性的な品ぞろえに加え、
店内の雰囲気も素敵な所が多いように思います。
捕らわれてしまった方たち(笑)
と、この博物館だけでも十分にノースカロライナに来た甲斐はある、
という内容なのですが、、、、、
今年、博物館の隣に新しく開設された自然研究センター。
いわゆる研究棟に当たるかと思いますが、
館内の一部(だと思う)を一般に開放、科学普及の手段として
研究者の仕事場をそのままガラス張りに見せてしまう、
という思い切った構成です。
アメリカ国内でもあまり前例のない構成だそうで、これが凄い!
「ナチュラリスト・センター」と名付けられた部屋。
スタッフの指示に従う事で中に入れます。
こちらは古生物ラボ。研究者の部屋や化石クリーニングの
様子が見れます。実際、ここで皆さん仕事もされています。
古生物ラボの前の展示。
小規模ですが、ティラノサウルスの幼体と言われる愛称ジェーンの
全身骨格等が展示されています。
また、館内にはステージもあり、定期的に所属研究者による
ミニ講演が開催。私が訪れたのは平日でしたが、それでも2回、
講演を聞くことが出来ました。
さらに、講演の無い時間に流される映像が
カッコいいんだ!
こちらにも小規模ですが、いろいろ展示があります。
これはセミクジラですが、お腹のところに子供が
入っています。
館内のレストラン。もし先の博物館&この研究センターで
食事を取るなら、こちらをお勧めします。
また、こちらにもミニステージがあり、研究者による様々な
トークライブやイベントが行われているよう。
「ア・テイスト・オブ・サイエンス」。
この言葉が、ここの博物館と研究センターの
魅力を一言で表しているのでは。
博物館・研究センター共に、子供から大人まで、自然科学に
興味を持ってもらうための様々な試みが、洗練された形で
行われている事が印象深い施設です。
ガラス越しに見える研究者、ステージでのトークを見ていると、
「研究者ってカッコいい!」「自然科学って面白そう!」
と理屈抜きに伝わるのではないでしょうか?
また、こういった最先端と言って良い試みが
決して規模の大きくない地方都市で行われている事にも
驚きました。
さて、この日の夜は博物館に於いて、SVP記念として現在の
恐竜番組では常連と言ってもよい
ローレンス・ウィトマー氏の講演が開催。
その後は、街に出て日本人研究者さん達の夕食に
ご一緒させて頂きました。夜の街に一人で出るのは
不安だったので、これはとても嬉しかったですね。
料理も美味しかったし。
SVP編続く
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