ヴァーミスラックス・ペジョラティブ

2012年1月4日 / その他


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ヴァーミスラックス・ペジョラティブ
映画「ドラゴンスレイヤー」に登場するドラゴン。
そして私にとってのベスト・オブ・ドラゴンです。
死ぬまで絶対一度自分の手で立体化する!と誓って
もう15年以上。
今回、やっと頭部だけ造れました。
私が今まで見た中で、このヴァーミスラックスほど生物的な
説得力を持つデザインと、架空の怪物としての
威厳を両立させているドラゴンは他にいません。
長過ぎず、幅の狭い吻部。そして絶妙に前を向いた眼。
これらは、この動物が空を飛ぶ動物である事を示唆します。
さらに歯の大きさ。ドラゴンというと「トゲ」「角」「キバ」という
記号に引っ張られ過ぎるのか、それぞれを強調した大きさに
表現されたデザインを多く見ます。特にキバ=歯に関しては、
長く、また口の奥までずらりと並んだ表現を見ますが、
それでは口を閉じる事が出来ないはずです。
その点、ヴァーミスラックスの歯の大きさと数は、生物らしい
範囲で収まっています。
洞窟の中を、トカゲのように這って歩くシーンも印象的。
デザインがあくまで爬虫類ベースである事を意識させ、
それがこのドラゴンの存在感と邪悪さの強調に繋がっています。
加えて、そのドラゴンが空を飛んだ時の飛行動物としての
美しさ。そのギャップがさらにこのドラゴンの魅力。
一方で、人間に生贄を求め、また子供を殺され怒る等、
知性を持つ設定・描写は架空の怪物だからこそ。
この辺りは、「何かの生き残り」ではなく、あくまで「ドラゴン」。
このキャラクターを表現するにあたゴーモーションという
技法が生み出されました。細かい説明は省きますが、
その恐ろしく手間の掛かる技法は、当時としても画期的な
ものでしたが、現在のCGを見慣れた観点から見ても、
その動きの滑らかさと、立体物を動かして撮影しているから
こその存在感には圧倒されます。
さらにそれだけの手間を掛けてでもリアルな物を見せよう
という「技術者達の怨念」のような凄味すら画面から
滲み出ているような気さえ。
そしてヴァーミスラックスは、その「怨念」が良く似合う
ドラゴンでもあるのです。
映画としては、中世ヨーロッパのダークな世界観で、
特筆するほどのストーリーでもありません。
話の中核であるヴァーミスラックスの出番も少ないのです。
それ故か、日本で劇場未公開、DVDも未発売と、一般的には
さほど知名度の高い映画ではありません。特撮も、現在の
CGに比べれば甘い部分も多々あります。それでもドラゴンという
「生物」を本気で造り上げた一つの例として、一度は見ておいて
損の無い映画だと思います。
ヒロインも可愛いしな。
「ドラゴンスレイヤー」の物語、そしてヴァーミスラックスの
デザインコンセプトをほぼ逆にすると「ドラゴンハート」
ではないかと。「ドラゴンハート」のドレイコも魅力的なドラゴンで
大好きです。
フィル・ティペット、万歳!!
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やっぱ、全身欲しいな~~~~。

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