■恐竜・古生物骨格復元模型制作企画

2015年12月18日 / 造形・イラスト作品


ACTOWの恐竜・古生物骨格復元模型制作企画として
デスモスチルスとイグアノドンを製作。
研究者の監修の元、恐竜・古生物に造詣の深い作家により
骨格を3DCGにて製作、それを3Dプリンターで打ち出す、という手法です。

企画その1 デスモスチルス
全長約20cm

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CG製作は荻野慎諧さん。
荻野さん自身も古生物学者なので、古脊椎動物として復元の難しさで
知られる束柱類・デスモスチルスをお願いしました。
監修は「デスモスチルスの復元」「恐竜の骨をよむ 」等の著者で、
古脊椎動物復元そして束柱類の権威でもある犬塚則久先生
パーツはほぼ実物通り、バラバラで製作、それを金属線で組み立ててあるので、
関節の角度の調整等の検討がし易くなっています。
また組立前状態で再出力(3Dプリントアウト)する事も
可能ですし、サイズを変更する事も出来ます。


デスモ1

CG製作最初の段階。

デスモ2

途中段階。
組立の姿勢だけでなく、各骨のバランス、形状も
かなり変更されています。完成までには更にここから多くの修正が入りました。
監修作業での荻野&犬塚両氏のメールのやりとりがまた圧巻。
研究者同士が故の容赦ない専門用語と修正指示の応酬。
あの修正指示を理解&対応出来るのは古生物学者の荻野さんだからこそ。


企画その2 イグアノドン(旧復元)
頭高 26cm
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3DCGデータ製作は台湾の許書毓さん。
監修は渡部真人先生(大阪市立大学)。
許さんの骨格CGは学研の図鑑「LIVE 恐竜」のARアプリにも採用されています。
今回のイグアノドン製作では、監修チェックは一発で通ったにも関わらず
「もっと細部まで作りたい」と追加資料を希望して、
自主的に精度を上げたという拘り。

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旧復元とはいえ、関節の仕方、ポーズの自然さに抜かり無し。
指のゆるいカーブとかたまりません。
私は資料提供しただけで、その後細かい指示は出していません
(というか、出す必要がなかった)。


iguanodon.cg

こちらは元になった3DCG。
なぜ旧復元かというと、恐竜復元の歴史を説明する教材として、
というのが第一ですが、ベルギーで見た旧復元イグアノドン展示
素晴らしかった、という個人的な想いも入っています。
もちろん、今回のCG上で新復元に組み直し、それをプリントアウトすれば
新復元骨格模型も製作出来る訳です。

CGを担当してもらった2人は、古生物学者である荻野さんは勿論、
許さんも研究者のチェックに十分対応出来る知識と経験、また普段からの
「学術的な復元」を意識した作品制作の積み重ねがあるため、
予想以上に作業はスムーズに進みました。
逆に言えば、それだけの知識や興味が無ければ、例え良い資料があったとしても
なかなか今回のようなクオリティのものは製作出来ないかと思います。
今後も、こうした研究者と作家の良い組み合わせによる作品制作は
機会があればまた取り組みたいと考えています。


日本を代表する古生物の一つであり、また日本で古脊椎動物の復元を学ぶ時に
避けては通れないデスモスチルス、そして恐竜復元の歴史において重要な位置にある
イグアノドン旧復元の、恐らく世界で他に無いレベルで再現した縮尺骨格模型が
手元にある、というのは、古生物復元に関わる者として嬉しい&贅沢な事です。

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