SVP・古脊椎動物学会2011 in ラスベガス 3

2011年11月22日 / SVP・古脊椎動物学会, SVP2011・ラスベガス


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発表の合間のブレークタイムは、コーヒー、紅茶、ジュース類が出されます(無料)
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ニューヨーク・アメリカ自然史博物館のディプロカウルスや、実物大サルコスクス復元模型を手掛けたゲイリー・スターヴ氏と新作を見せ合うの図。

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今年の春、ベルリン自然史博物館見学の折、お世話になったハインリヒ・マリソン氏と。今回のSVPでの恐竜の走り方についての発表が話題になっています。ベルリンでお会いした時もそうでしたが、とにかくトークが上手い&楽しいのです。こちらの質問にも、身振り手振りも入れて判り易く解説。
11/5 SVP最終日
最終日は、3年ぶりに復活のバンケット(夕食会。参加は任意)と各授賞式・閉会式、打ち上げパーティーと続きます。
そして、授賞式では、今回は日本人から2人が受賞! かつ、お一人で2つの賞を受賞された方がいるので、日本人が3回、壇上に上がるという快挙。

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左から、松本さん(国立科学博物館)、冨田さん(東京大学大学院)、木村さん(サウザン・メソジスト大学)。
松本さん、木村さんのお二人が今年の受賞者。
冨田さんは、去年のコルバート賞受賞者。サメの研究をされています。今年の受賞者が揃っている所にちょうど居られたので、SVP受賞経験者として一緒に。
木村さんは、2009年のコルバート賞受賞者。今年は、大学院の学生の研究を援助する賞であるMary R. Dawson Grantを受賞されました。
松本さんは今回、コルバート賞とエステス・メモリアル賞の2つを受賞。エステス・メモリアル賞は、Richard Estes氏を記念した賞で、哺乳類以外の古脊椎動物を研究をしている博士課程の学生に研究のために援助が与えられる賞。
コルバート賞は、学生によるSVPでのポスター発表から毎年1人が選ばれます。そしてこのコルバート賞、2008年より日本人が連続受賞、今回の松本さんで4年連続なのです。
今回受賞の発表内容については、ご本人からコメントを頂きましたので、紹介致します。
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「中生代~新生代、コリストデラ類とワニ類の淡水における生態地位争いについて」
有名なチャンプソサウルスが発見されてから100年以上が過ぎているのにも関わらず、コリストデラ類について謎が多くあります。そもそも、何故そんなに新しい標本が見つからないのだろうか(やっと11属が知られるようになった)?見つからないのは、人が見落としているのか、それとも特定の環境にしかいなかったのか?
それらの疑問を掘り下げるために、コリストデラ類が好む環境(産出する環境)がどのような所だったのかを中生代から新生代まで調べてみようと思ったのが、この論文の取っ掛かりでした。

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コリストデラ類を代表するチャンプソサウルス類は、ワニと共に白亜紀末期の絶滅を生き残り、その後、始新世に絶滅した爬虫類として非常に興味深い動物です。また、コリストデラ類全体を見てみると、デザインのバリエーションも多く、日本ではShokawaという種が発見されています。中国から発見されているMonjurosuchusは松本さんの修士課程での研究だそう。コリストデラ類にも興味を持つ方が増えて欲しいとの事。 ここまで読んだ皆さんは、是非これを機会にコリストデラ類、調べてみましょう!
この数年、SVP会場にいると「日本の若手の研究者は凄いな」と外国の方に言われる事があります。その評価の表れが、SVPでの日本人受賞の数々でしょう。一方で、日本国内において、一般的なメディアだけでなく古生物ニュースが頻繁に掲載、紹介されているメディアでも、SVPでの受賞が扱われる事は決して多くありません。現在の日本人研究者の活躍と存在感があるからこそ、私のような研究者でも無い人間がSVP等でスムーズに受け入れて貰え、また今回の出展のような活動の原動力にもなっています。もちろん、こうした優れた研究が、これから日本の国内でも様々な恐竜・古生物の書籍やイベントや、展示にも反映され、私たちをさらに楽しませてくれる事になります。是非、古生物好きの皆さんには、こういった日本人研究者の皆さんの活動にも興味を持って頂き、また応援をして頂ければと思います。
また、今回は東北大震災で被災した博物館の状況を伝えるブースが特別に会場内に設けられました。 国内外で活躍中の日本人研究者の皆さんが交代で解説を担当。SVPの参加者なら、被災した地域に研究上、世界的にも重要な標本が数多くあることは当然知っておられる訳で、多くの方が真剣に解説に耳を傾け、ポスターを見ておられました。 この数年の日本人の連続受賞に象徴される研究者の層の厚さ、優秀さが、これからの被災地域の標本レスキューや施設復興の大きな力にもなる事でしょう。
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授賞式の後は、これも毎年恒例の打ち上げパーティー。4日間の間に知り合いも増えるので、初日のウェルカムパーティとはまた違った面子で話が盛り上がるのが楽しい。

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最後に、今回のACTOW出展ブースで記念撮影。
次回は、ニューヨーク、ラスベガスでの戦利品紹介。

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