アクロカントサウルス製作(とコンカベナトルについて)

2010年9月14日 / 造形・イラスト作品


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 状態の良い全身骨格があって、結構詳細な論文も出ていて、足跡(といわれている)化石も見つかっている、と資料には比較的困らない恐竜の一つ、アクロカント。後々の楽しみ的に取っておいたネタでもあったのですが、そろそろ造ろうか、という事に。
 Currie, Philip J.; & Carpenter, Kenneth. (2000). “A new specimen of Acrocanthosaurus atokensis (Theropoda, Dinosauria) from the Lower Cretaceous Antlers Formation (Lower Cretaceous, Aptian) of Oklahoma, USA”に掲載の全身骨格図と、立体組み立て全身骨格で違いがあるのですが、基本的なバランスは論文の全身骨格を元に、組み立て骨格の要素を入れて製作です。アクロカントに関しては、前肢の可動範囲の研究もあるので、それを考慮してポーズも決めます(まだ調整中)。

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 去年、大阪で展示された全身骨格。各パーツの精度が高いように見えますし、肩周りの組み立てが奇麗だったりで、好きな組立骨格の一つです。
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 先日発表されたコンカベナトル(コンカベナトール Concavenator)
背中の瘤と、腕の羽毛の基部の痕(飛羽瘤)で話題になっています。早速、論文をダウンロード(有料)したのですが、そこに掲載の標本画像を見て、気になったところが。報道では「腰の上にこぶ」とありますが、伸びているのはスピノサウルス背中と同じく神経棘という骨で、「瘤」というほどの厚みはありません。なので、どちらかと言えば帆もしくは突起のほうが化石からのイメージ的には近いかな、と。もちろん、そこに脂肪などが付いていれば「瘤」な外観になるかも知れませんが。
 また、「腰の上」とありますが、実際には長く伸びているのは腰の骨の直ぐ前の背中の骨の一部・神経棘。で、腰の部分では逆にまったく神経棘は目立たず、尻尾でまた高くなります。これを化石そのままに表現すると、
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な感じかな、と。
腰の上の部分が凹む事になります。同様の疑問を持たれた方も居られるようで、海外には化石の腰の部分の神経棘が欠けているものとして、そこを補うような表現の(つまり背中の突起から尻尾がなだらかに繋がるような)骨格図を発表されている方も(研究者では無い方ですが)。
論文には
“The neural spines of the sacral and first caudal vertebrae are low, below the dorsal rim of the ilium.”とあります。
腰の部分の神経棘は低い、って事で良いのかなぁ、、、。
腰部分、背中方向から見てみたいですよねぇ、、、
(もちろん、他の部分もあらゆる角度で見てみたいけど。あれだけ見事な保存状態だと)。

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